食事療法のイメージ

つつじ内科クリニック 糖尿病の治療法 食事療法糖尿病における治療法でカギを握っていると言われているのが食事療法です。

では、なぜ食事療法が糖尿病において必要なのかというと、糖尿病が食事と密接な関係にあるインスリンの不足や欠乏から起こってしまう病気だからです。

インスリンが不足してしまうと、ブドウ糖などの栄養素が細胞に運ばれなくなってしまい、栄養不良となってしまいます。

そして体の隅々にブドウ糖が運ばれないことにより、血液中にブドウ糖が増え続けてしまい高血糖になり、最悪の場合、合併症を起こしてしまいます。

ではインスリンが不足している状況で、ブドウ糖が増え続けないようにするためにはどうしたらよいでしょうか?

「大行列」に「来場制限」をかける

たとえが悪いかもしれませんが、連休や夏休みなどの休日における某テーマパークを思い出してください。

来場できる人数がたくさんになった場合、人気のアトラクションだけでなく、すべての場所で大行列になり、うんざりした経験はありませんか?

実は糖尿病の体の中では同じようなことが起こっています。

行列に並ぶほど混雑した時に経験した事を思い返してみましょう。
なんと入口で来場制限がかかるのです。
(私は1度だけ経験しましたが、めったにないようです・・)

糖尿病の食事療法も同じ概念ではないでしょうか。

食事の摂取量に調整をかけて、インスリンが不足した体に対応させる

ある程度食事の摂取量に調整をかけ、インスリンが不足した体でも糖を処理できる、対応できる量に食事を調整することが、食事療法の概念ではないかと考えています。

食事療法に関しては薬を飲むわけでもないし、お金がかかるわけでもないので非常に始めやすい療法です。

ただし、食事療法といっても、糖尿病用の特別な食事があるわけではなく、1日の摂取エネルギーが決められるだけで、後はバランスのとれた食事を行っていくことが治療につながります。

では、実際どのように食事療法を行っていくのか説明させて頂きます。

つつじ内科クリニックの食事療法

POINT1 食べ方を身につける

腹八分目で食べる 太る、血糖値があがる原因はシンプルです。体重が増えている人は、自分が消費するカロリーより、食べてとり入れるカロリーがオーバーしているのです。まずは現状より1割ほど減らすなど、腹八分目を心がけましょう。
ゆっくり味わって食べる 食事はゆっくりよく噛んで、味わって食べると少ない量でも満腹感がえられます。
朝食の欠食、夜食をやめる 生体リズムでいうと、朝は体が“活動モード”のスイッチが入るとき。しっかり食べて体がエネルギーを消費できる態勢をとれるようにしてあげましょう。逆に夜は体が“お休みモード”になるとき。寝ている時はエネルギー消費は最小限ですから、就寝前に食事をとる習慣は改善が必要です。
空腹時に買い物をしない、 目の前に置かない 食欲は人間にとって本能的な欲求です。必要以上に食欲中枢を過剰に刺激しないよう、空腹時の買い物は避けるのも過食を防ぐコツです。また、食べ物は戸棚や冷蔵庫など見えない場所に保管し、食べる分だけ出すなど、食環境に配慮することも大切です。
食事の摂り方の
順番を変える
食事の際、まず初めに主食(ご飯やパン、麺類など)を口にする人は多いでしょう。ご飯やパン、麺類などの炭水化物(糖質)は血糖値を急激に上げるため、インスリンも急激にたくさん分泌されます。
 過食を防ぎ血糖値やインスリンの上昇をゆるやかにするため、食物繊維が豊富な野菜、海藻類、キノコ類、汁物などを先に食べるなど、食べる順番を工夫しましょう。

先に食べるもの

野菜、根菜類、海藻類、キノコ類などの食物繊維
みそ汁やスープなどの汁物

後に食べるもの

ご飯やパンなどの炭水化物

朝食の欠食、夜食をやめる 生体リズムでいうと、朝は体が“活動モード”のスイッチが入るとき。しっかり食べて体がエネルギーを消費できる態勢をとれるようにしてあげましょう。逆に夜は体が“お休みモード”になるとき。寝ている時はエネルギー消費は最小限ですから、就寝前に食事をとる習慣は改善が必要です。

POINT2 高カロリー食に注意

1gあたり糖質、タンパク質は4kcal、脂質は9kcalのエネルギーがあります(アルコールは7kcal)。
とくに脂質の多い食品は、口あたりがよく、うま味が油に溶け込んでいるので、つい食べ過ぎてしまいがちですが、少ない量でも“高カロリー食”だということをお忘れないようにしてください。

調味料にも高カロリーなものがあります 見落とされがちですが、調味料にも高カロリー食品があります。
調味料は一回の使用量はわずかでも、毎食必ずといってよいほど使われているので、無意識に相当量を摂ってしまうことも。
一日にどのくらい使っているか、一度振り返ってみることをおすすめします。
マヨネーズ、ドレッシング、ラー油、コンソメ、しょうゆなど、調味料には多くの種類がありますが、いずれも脂質、糖質、塩分のいずれかに偏った食品である場合が多いことを忘れずに。
脂質やエネルギーを抑えるコツ
調理の工夫

油を使わず、フッ素樹脂加工のフライパンを使って調理する。
肉は網焼きにして脂肪を落とす。
肉はゆでて、浮いた脂肪をすくい取る。

菓子類や清涼飲料水への意識も忘れずに

糖質や塩分は、味覚の慣れのために自分で感じる以上に多くとってしまうことがあります。
それは菓子類、清涼飲料水などにもいえることです。
ですから味覚にだまされることなく、カロリーや塩分の摂取量を栄養表示などで把握して、とり過ぎないようセルフコントロールすることが大切です。


POINT3 体に良い青魚の油脂は積極的にとる

青魚とは、サバ・イワシ・サンマ・アジなどに代表される、背中の部分が青味がかった魚で、サケ・マグロ・ブリなども含まれます。
青魚には、良質のたんぱく質が豊富、肉では摂りにくいビタミンDが多い、油脂に健康によいEPAとDHAを豊富に含むといった特長があります。
EPA(エイコサペンタエン酸)は、血を固まりにくくし、動脈硬化を防ぐ働きがあります。


POINT4 野菜、海藻、きのこを意識して食べる

糖質、タンパク質、脂質が体内でエネルギーとして燃焼・消費されるためには、ビタミン・ミネラルが材料として必要です。
ビタミン・ミネラルの豊富な野菜は毎食とるようにしたいものです。
野菜・海藻・きのこ類などに含まれる食物繊維は血糖値の急激な上昇を抑える働きもあります。


POINT5 飲酒は「適量」と「休肝日」を心がけましょう

上手に飲めばストレス解消になり、善玉HDLを増やすこともあるアルコール。
しかし、過度な飲酒を毎日のように続けていると、血圧を上昇させ心臓に負担をかける、過剰エネルギー摂取による肥満や糖尿病、脂肪肝や肝硬変などを引き起こす、粘膜を荒らしがんの原因になるといった悪影響を及ぼします。
最近私たちの研究チームがおこなった、肥満でない男性の調査によると、1日の飲酒量が多い人ほど空腹時の血糖値が高く、その要因として肝臓でのインスリンの効きやすさ(感受性)が悪化していることがわかってきました。
しかし、たった1週間飲酒を控えることで肝臓でのインスリンの効きが改善することが報告されています。
過度な飲酒習慣がある方はいまからでも遅くありませんので休肝日を作るなど、飲酒習慣の見直しを心がけましょう。

適量を守りましょう

アルコール摂取量の基準とされるお酒の1単位とは、純アルコールに換算して20g(女性・高齢者はこれより少なめに)です。
この1単位を各種アルコール飲料に換算すると、おおむね以下の目安になります。
〈適量の目安〉※数値は銘柄により差があります。
ビール(中ビン1本)5度 500㎖/200kcal
清 酒(1合)15度 180㎖/185kcal
ウィスキー(ダブル1杯)43度 60㎖/142kcal
ワイン(1/4本)14度 180㎖/131kcal
焼 酎(約0.6合)25度 100㎖/140kcal

休肝日を必ずつくりましょう

アルコールは胃で吸収され、残りは小腸で吸収されて血液に入り大部分は肝臓へ運ばれ分解処理されます。
毎日飲酒を続けると、肝臓がアルコールの分解処理にかり立てられ、脂肪の分解を後回しにしてしまい、少しずつ脂肪が肝臓に沈着します。
肝臓が脂肪の分解に専念できる余力をもたせるため、週に2日程度は休肝日を作りましょう。

アルコールの大部分が肝臓で代謝されます

肝臓のアルコール分解能力は、1時間に体重1kg当たり0.1~0.2gといわれています。
適量の20gを分解するのに、体重60kgの人で1.5~3.5時間かかります。
肝臓に無理をかけないよう、いたわりながら飲む習慣をつけましょう。

食事療法について不明点があれば、お気軽につつじ内科クリニックまでお尋ねください。